昨日は、群馬交響楽団の上田定期演奏会 ー2024 夏ー を聴いてきました。
プログラムは以下の通り。コンマスは伊藤文乃さん。
指揮/飯森範親(群響常任指揮者)
ヴァイオリン/マルク・ブシュコフ *
モーツァルト:6 つのドイツ舞曲
コルンゴルト:ヴァイオリン協奏曲
R. シュトラウス:家庭交響曲
今回のお目当ては、「家庭交響曲」。演奏頻度が低いですし、機会があればなるべく聴きたいと思っていました。
会場は、長野県上田市のサントミューゼ(上田市交流文化芸術センター)大ホール。
普通に高崎芸術劇場に行ってもよいのですが、たまには地方のコンサートホールに行ってみるのも面白かろうと思って。
サントミューゼは、大ホール、小ホール、サ 複数のスタジオ、美術館、会議室まで備えた複合文化施設で、それらが芝生広場を弧状に取り囲むように配置されています。
上田駅から徒歩圏で、隣にはショッピングモール。
すぐ裏には千曲川が流れていて、上田城址公園にも近い。
ホールは1530席。多目的ホールですが、木質の内装で音響は良好。
ダークブラウンの色調が落ち着いた感じですし、3層の客席はどこからでもステージが見やすそう。
まず、モーツァルト。
ヴィオラを欠く弦の編成は 8, 6, 4, 3と最小限で、モダン配置。
6曲とも三拍子で、すべて異なる調。
比較的親しみやすい雰囲気ですが、モーツァルトらしさは間違いなく刻印されていて、シンプルながら味わい深い。
宮廷での舞踏会の様子が目に浮かんでくるようでした。
次は、コンチェルト。
オケは12型(12, 10, 8, 7, 6)。
マルク・ブシュコフさんと飯森範親さんの共演は、先日パシフィックフィルハーモニア東京の演奏会でも聴いたばかり。
今回は比較的舞台に近い席で聴いた結果、艶ややかで温かみがあり、しかも内側に熱を秘めた力強い音は、大変魅力的でした。
その美音で、旋律美に溢れたコルンゴルトの魅力を伸びやかかつ大きなスケールで描きました。
特に終楽章では、華麗なテクニックの冴えも存分に披露。
一つだけ難を言うなら、ヴィブラートの大きさが気にならなくもない。
個人的好みかもしれませんが、音程を揺らしすぎるヴィブラートは、どうも好きになれません。
コルンゴルトの協奏曲って、ハリウッドの映画音楽風に聞こえる部分もなくはないですが、ロマンティックなメロディは実に魅力的で聴き応え十分です。
ハープ、チェレスタ、グロッケン、シロフォン、ヴィブラフォンからチューブラーベルまで、協奏曲では珍しい楽器がたくさん使われているのも面白い。
ソリスト。アンコールは、バッハ/無伴奏ヴァイオリン・ソナタ第2番 BWV1003より 第3楽章 アンダンテ。
こちらはヴィブラートぐっと控えめで、品格ある瞑想的な演奏。
最後はいよいよ家庭交響曲。
オケの編成はさらに拡大して、16型に。
縦線が揃う場面がほとんどなくて、常に多数のパートがポリフォニックに絡み合っているような、大変な難曲だと思います。
おまけにトランペットやホルンには難所がたくさん。
それを技術的に破綻なくまとめるだけでなく、ストーリーにそって家庭の様子を活き活きと描く必要があるのですから、もう大変。
群響はよく頑張ったと思います。十分に満足のいく演奏でした。
トランペットが何ヶ所か高音をしくじりましたけど、まあ、仕方がない。
ホルンは随所で活躍を見せて、大健闘。
最終盤で超高音から高速つるべ落としの箇所がありますか、見事にクリアしていました。
弦楽器群も管打楽器の大音響に負けじと熱演していたし、金管と弦に挟まれた木管群も埋もれずに存在感を見せてみていました。
オーボエダモーレのソロもいい味出してましたし。
それにしても、フィナーレの長丁場(個人的には「まだ終わらんのかい」と言いたくなる過剰さ、冗長さ!)を乗り切って最後のクライマックスまで描ききるのは、体力的にも、気力/集中力の面でも大変だと思うのですが、それをやり遂げた飯森さん・群響には頭が下がります。
この曲のフィナーレには4本のサクソフォンが使われます。ソプラノ、アルトはともかく、バリトンやバスまで使う曲なんて、他にないんじゃないでしょうか。
それなのに、オケ全体が大音響を奏でる中で、その音がほとんど聞こえないのは可哀想。
でも、以前都響でこの曲を振った小泉和裕さんによれば、サクソフォンが「ある」と「ない」では響きが違うのだそうです。
というわけで、初めて行った素晴らしいホールで、指揮者、ヴァイオリスト、そしてオケの熱演により多彩なプログラムを楽しむことができ、遠くまで出かけた甲斐がありました。
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